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有鉤骨鉤の疲労骨折・偽関節

有鉤骨鉤(hook)とは?

手首の骨(手根骨)の1つである有鉤骨には、鉤(こう、hook)という出っ張りがあります。

野球ゴルフ剣道などでは、ちょうどグリップエンドが当たる部位になります。

バットやクラブ、竹刀を振る支点となるため、かかる負荷が集中し、繰り返されることで疲労骨折が生じます。

疲労骨折は非利き手(右打ちなら左手)に生じます。

疲労骨折とは?

1回の大きな外力ではなく、小さい負荷が同じ部に繰り返し加わることで生じる骨折を疲労骨折といいます。

初期には小さい骨折(ヒビ)で、安静にすれば骨の修復力により治癒します。

しかし、初期には痛みはそれほど強くないため、スポーツが続けられがちです。

鉤(hook)への繰り返す負荷が続くと、次第に修復力が失われ、骨折部は硬化してしまいます(レントゲン、CTでは白く写ります)。

特に鉤(hook)の疲労骨折では、硬化してしまうと骨癒合は難しくなります。

骨がつかないことを偽関節(ぎかんせつ)といいます。

通常の骨折(左)と違い、疲労骨折(右)では、骨折部が硬化(白いところ)しています。

有鉤骨鉤疲労骨折・偽関節の治療

通常の骨折はスクリュー固定により骨癒合が期待できますが、疲労骨折では骨癒合が難しいです。

さらに、早期スポーツ復帰のため、鉤(hook)の摘出をします。

鉤(hook)摘出手術

  • 麻酔:伝達(片腕)麻酔を行います。
  • 手術時間:40~50分程度です。
  • 手術後の経過:手術後1~2週程度のスプリント固定をします。スポーツ復帰は手術後2ヶ月頃から徐々に可能となります。

創部にグリップエンドが当たらないように皮膚切開をし、鉤を摘出します。

鉤(hook)を摘出するデメリットは?

理論的には握力がわずかに低下しますが、筋力強化によりカバーできる程度です。

そのため、実際には鉤(hook)を摘出するデメリットはありません。

逆に、偽関節のまま放置すると、偽関節部で屈筋腱が摩耗して断裂する可能性があります。

鉤(hook)の偽関節を放置により、小指の屈筋腱が断裂することがあります。

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