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尺側手根伸筋腱脱臼

尺側手根伸筋腱脱臼とは?

手首を返す動作で、尺側手根伸筋腱という腱がズレます。

 

尺側手根伸筋腱は骨の溝に納まっており、2層の腱鞘により覆われています。

深層の腱鞘が骨から剥がれてしまうと、手首を返すたびに腱が溝から逸脱(腱の脱臼)してスナッピングが生じます。

このスナッピングの際にズキッと痛みがでることがあります。

尺側手根伸筋腱脱臼の模式図

腱鞘(深層)が骨から剥がれ、できたスペースに腱が逸脱します。

尺側伸筋腱脱臼はなぜ起こる?

主にスポーツで生じます。

典型的には、アイスホッケーのショット、ゴルフのフック打ちなど、手首を思い切り返す動作です。

また、生まれつき腱が脱臼しやすい先天性や、リウマチも原因となります。

尺側手根伸筋腱脱臼の治療は?

脱臼しても痛みや違和感がなければ治療の必要はありません。

特に痛みを伴う場合には、手術が考慮されます。

腱鞘を修復する方法と、腱の走行を変える(リルート)方法があります。

腱鞘の修復手術

骨から剥がれた腱鞘(深層)を、アンカーにより元の位置に縫いつけて修復します。

手術後数週間のギプス固定をし、スポーツ復帰まで数ヶ月を要します。

右図は、腱鞘の修復手術の模式図です。

骨から剥がれた腱鞘(深層)をアンカーにより修復します。

腱の皮下re-route(リルート)手術

脱臼した腱を元の位置に戻すのではなく、腱の走行を変える(リルート)ことでスナッピングをなくします。

手術後の外固定は2週間程度で、早期にスポーツ復帰が可能です。

右図は、腱の皮下リルート手術の模式図です。

脱臼した腱の走行を腱鞘(浅層)の上に変えます。

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