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舟状骨骨折・偽関節

舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折とは?

転倒など、手をつくことで舟状骨が骨折します。

典型的な症状は「手をつくと手首が痛い」です。

また、舟状骨骨折の特徴は、「見逃されやすい」「骨がつきにくい」「放置されやすい」です。

手首の親指側に痛みが出ます。

見逃されやすい

レントゲンで骨折がはっきりしないことも多く、「捻挫」と診断されてしまうことがしばしばあります。

疑わしい場合には、別の角度でのレントゲンやCT(またはMRI)が必要です。

レントゲンでは骨折がはっきりしませんが、CTでははっきりとわかります。

骨がつきにくい

舟状骨は特殊な血行(血流が少ない)をしているため、偽関節(ぎかんせつ:骨がつかないこと)になりやすいです。

さらに、骨がつかないだけでなく骨片が壊死してしまうこともあります。

骨折を放置すると、徐々に骨が欠けてきてしまい偽関節となります。

下の画像では、MRIにて骨片が黒く写っており、血行障害(壊死)を示しています。

放置されやすい

手をつかなければ痛みがなかったり、腫れが少なかったりすることも多く、そのため病院を受診しないというケースがしばしばあります。

放置するとほとんどのケースで偽関節となります。

舟状骨偽関節を放置すると?

痛みがなければ治療をしなくてもよいのか?? ・・・Noです。

舟状骨偽関節を放置すると、周辺の関節にまで変形が及んでしまいます(SNAC wrist)。

そうなると、舟状骨だけを治療しても痛みがとれないため、舟状骨を切除せざるを得なくなってしまいます。

偽関節を放置した症例

偽関節を放置すると、左の画像のように周辺の関節にまで変形が及んでしまいます(SNAC wrist)。

右の画像は舟状骨を切除した例です。

治療は?

転位(ズレ)がない場合

6〜8週間のギプス固定か、または、手術(スクリュー固定)のどちらかとなります。

手術後は1〜2週でスポーツ復帰可能となります。

転位がある場合、または、偽関節の場合

手術(スクリュー固定または偽関節手術)となります。

骨欠損の程度によっては骨移植が必要となります。

舟状骨骨折の手術

スクリュー固定術

骨折部を埋め込み型スクリューで固定します。

転位が少ない場合は、創は5mm程度です。

骨欠損が大きい場合は、手関節より骨移植を要する可能性があります。

舟状骨偽関節の手術

偽関節手術

偽関節部を掻爬(そうは:きれいにすること)して、骨移植をして埋め込み型スクリューで固定します。

骨移植は、骨欠損が大きい場合は腸骨から、小さい場合には手関節から採取します。

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