手外科の医療情報サイト

リウマチ

リウマチでの伸筋腱断裂の症状は?

自然に伸筋腱が断裂してしまい、指が伸びなくなってしまいます(下垂指)。

典型的には、最初に小指、そのうち薬指が伸びなくなります

ただし、小指の腱が断裂してもある程度伸ばせるため、薬指の腱も断裂してはじめて気づくことも多いです。

さらに進行すると、中指、人差し指の腱まで断裂することがあります。

症例

(左)薬指と小指の腱断裂。

(中)中指と薬指と小指の腱断裂。

(右)中指と薬指だけの場合もあります。

リウマチの伸筋腱断裂、なぜ起こる?

リウマチの手関節変形では、尺骨が背側(手の甲側)に出っ張ってきます。

尺骨の真上には伸筋腱が滑走しており、この出っ張りで擦り切れて断裂します。

典型的には、小指→薬指→中指→人差し指の順に断裂します。

リウマチ手関節変形における伸筋腱断裂の模式図

リウマチによる伸筋腱断裂の治療

腱をつないでも同じ部位で再断裂してしまう可能性があるため、腱の手術骨の手術同時に行う必要があります。

腱の手術

腱移行(隣の指の腱への移行)または腱移植(長掌筋腱という無くても支障のない腱を採取)により再建します。

  • 腱移行(真ん中):断裂したくすり指・小指の腱をまとめて中指の腱へ移行
  • 腱移植(右):断裂した腱を移植した腱により橋渡しして再建

骨の手術

出っ張って不安定となっている尺骨頭をスクリュー固定するか、または切除してしまいます。

腱の再断裂の予防のため、(左)尺骨頭の固定(S-K法)、または、(右)尺骨頭切除を行います。

  • 麻酔:伝達(片腕)麻酔を行います。
  • 手術時間: 90~120分となります。
  • 手術後の経過:約3〜4週間のスプリント固定または装具を装着し、早期にリハビリを開始します。手術後2~3ヶ月程度で日常生活での動作はおおよそできるようになります。

術後

(左)手術前。くすり指・小指が伸びない。

(右)手術後6ヶ月。指が伸びている。

腱断裂を察知する:EDMテスト

実際には、伸筋腱は上の模式図よりも複雑な構造をしています。

小指の伸筋腱のみが断裂しても、ある程度は伸ばすことができるため気づかれず放置され、断裂が進行してしまうケースが多いです。

断裂が進行するほど手術、術後のリハビリは大変となるため、小指の腱断裂に気づくことが重要です。

小指の腱断裂を判断する方法にEDMテストがあります。

全体で指を伸ばすことはできるけれど小指だけを伸ばすことができない(パーはできるけれど、指切りで小指を立てることができない)、その場合には、小指の腱が断裂している可能性が高いです。

EDMテスト

小指の伸筋腱が断裂すると、指切りができません。

このページの先頭へ戻る