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デュピュイトラン(Dupuytren)拘縮

デュピュイトラン(Dupuytren)拘縮の症状は?

手(手掌)や指に線状のしこり(索状物:さくじょうぶつ)ができ、皮膚がつれて指が伸ばせなくなります。

通常、痛みはありません。

中指、くすり指、小指に多く、進行すると洗顔や手袋をはめる際に引っ掛かるようになります。

症例

(左)手掌の索状物。中指が伸ばせない。

(右)指間の索状物。指が開きにくい。

どちらも握ることは可能です。

原因・診断は?

糖尿病やアルコール飲酒の方に比較的多いですが、はっきりとした原因はわかっていません。

両手にできること、手掌だけでなく足底にもできること、人種間で発生に差がある(日本人は比較的少ない)ことから、遺伝子が影響していると考えられます。 

診断は、触診(索状物による伸展制限)により確定します。

治療は?

デュピュイトラン拘縮には、第3関節(MP関節)が伸びなくなるタイプ第2関節(PIP関節)が伸びなくなるタイプがあります(両方の場合もあります)。

(左)が第3関節(MP関節)がが伸びなくなるタイプ、(右)が第2関節(PIP関節)がが伸びなくなるタイプです。

MP関節のタイプは、伸びの制限が大きくなってから治療(手術)がをしても、ほとんどのケースでよくなります。

そのため、特に支障なく使えていれば手術を急ぐ必要はありません。

一方、PIP関節のタイプは、伸びの制限が大きくなると、手術をしても十分な改善は難しくなります。

そのため、ある程度伸びが悪くなってきたら手術を検討するとよいです。

注射治療剤ザイヤフレックスについて

コラゲナーゼ酵素を注射して索状物を溶解・破綻する治療です。

2015年より治療の一選択肢でしたが、2020年以降、販売中止により本国において使用できなくなっています。

デュピュイトラン拘縮の手術

デュピュイトラン拘縮手術は、索状物を切除して、指を伸ばせるようにします。

索状物には神経が絡んでいることが多く、むやみに切除すると神経を傷つけてしまいます。

そのため専門性が高く、十分に経験のある手外科医が行うべき手術です。

また、皮膚の切開はジグザグで一見派手ですが、手術後に皮膚がつれないためであり、むしろ綺麗に治ります。

(左)手術時の切開デザインです。(右)手術後1年、創はほぼ目立たず綺麗に治っています。

術後

(左)小指のMP関節とPIP関節の伸展制限があります。

(右)手術後6ヶ月。制限なく伸ばせています。

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